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コラム : 品確法導入勉強会報告書 ―測量設計等業務に総合評価方式の導入を― を作成しました
掲載日時: 2007年3月1日

1.はじめに

 平成17年4月1日に「公共工事の品質確保の促進に関する法律」(以下「品確法」という。)が施行され、同年8月26日に、その施策を推進するための基本的な方針が閣議決定された。それに基づき、請負工事については平成17年度から、価格と品質の両面から総合的に判断し落札者を決定する総合評価方式が実施されたが、測量設計業務等の委託業務については、今後の検討課題とされた。しかしながら、委託業務とは、本来、発注者が行うべき行為を発注者に代わって行う業務であって、調査設計等委託業務の成果の良否は、後に来る請負工事に大きく影響を及ぼすものであり、調査設計等委託業務の品質確保は、請負工事の品質確保以上に重要なものである。請負工事に、総合評価方式が導入され、発注時点で事業の目的に応じ競争参加者の技術的能力の審査が行われるようになった現在、測量設計業務等の調査設計等委託業務にも、総合評価方式を導入することは、請負工事の品質を確保する上からも必要不可欠なものであり、理にかなったものである。測量設計業界としては、早期に導入されることを望むものである。このようなことから、社団法人埼玉県測量設計業協会としては、それらの導入課題を先取りし、発注機関において、早い時期での総合評価方式の導入が図られるよう、平成18年8月、協会内に会長を座長とする「公共工事に係る測量設計等業務総合評価方式導入のための勉強会」を設置し、独自に検討することとした。

2.総合評価方式とは

 公共工事は、調達時点で品質を確認できる物品の購入とは異なり、施工者の技術力等により品質が左右されることから、発注者は、個々の工事の内容に応じて適切な技術力を持つ企業を施工者として選定し、品質の確保を図らなければならない。しかしながら、現状では、多くの発注者において受注者の選定にあたって十分な技術力の審査が行われず、原則としての価格競争のみで選定されているのが実状である。従来の価格のみの入札は、時として行き過ぎた低価格入札を生み出し、営利を追求するあまり、品質の良いものを作ろうとする企業努力を損ない、公共工事の品質の低下を引き起こすとともに、適切な技術力を持たない者が施工することによる不良工事が発生するなど社会的に大きな問題となってきている。公共工事の品質の確保には、単に安い調達を目指すのではなく、価格と品質の両面から総合的に優れた調達を追及することが県民にとって最大の利益をもたらすこととなる。社会資本の整備には、最も価値の高いもの、いわゆるBest Valueの調達こそ、最良の施策である。このような背景を踏まえて平成17年に品確法が成立し、そしてその具体的な推進施策である基本方針が策定された。そして、その品確法第三条第2項に「公共工事の品質は、建設工事が、目的物が使用されて初めてその品質を確保できること、その品質が受注者の技術的能力に負うところが大きいこと、個別の工事により条件が異なること等の特性を有することに鑑み、経済性に配慮しつつ価格以外の多様な要素も考慮し、価格及び品質が総合的に優れた内容の契約がなされることにより、確保されなければならない」と規定され、公共工事の品質確保には、価格に加えて技術提案の優劣を総合的に評価する、いわゆる総合評価方式が必要であるとした。

3.測量設計業務等の委託業務への導入の必要性

 先に記したように、総合評価方式については、請負工事については平成17年度から国において実施されたが、測量設計業務等の委託業務については、検討課題とされ、当面、保留とされた。しかしながら、品確法第三条第7項に「公共工事の品質確保に当たっては、公共工事に関する調査及び設計の品質が公共工事の品質確保を図る上で重要な役割を果たすものであることに鑑み、(中略)公共工事に関する調査及び設計の品質が確保されるようにしなければならない。」とあり、また、法を受けた基本方針にも、その第2の7に「公共工事の品質確保に当たっては、公共工事に関する調査・設計の品質確保が重要な役割を果しており、測量、地質調査及び建設コンサルタント業務の成果は、建設段階及び維持管理段階を通じた総合的なコストや公共工事の工期、環境への影響、施設の性能・耐久性、利用者の満足度等の品質に大きく影響することとなる。このような観点から、公共工事に関する調査・設計についても、工事と同様に発注関係事務の環境整備に努めるとともに、調査・設計の契約に当たっては、競争参加者の技術的能力を審査することにより、その品質を確保する必要がある。(後略)」とあるように、調査設計等の委託業務の品質の確保は、請負工事の品質確保とともに、必要不可欠なものであり、表裏一体をなすものである。いわゆる公共工事の品質確保には、測量・地質等の調査及びそれに基づく設計の品質の確保が必要であり、公共工事の良否は、調査設計の成果にかかっているといっても過言ではない。 それゆえ、測量設計業界に属する者は、日々研鑽し、技術の向上に努めていかなければならないことはいうまでもない。しかし、一部に、不況の波におされ、利益を追求するあまり、それらの努力を怠っている者が生じてきていることも確かである。発注者が事業の目的に応じ、競争参加者の技術的能力の審査を行う総合評価方式の採用は、品質の確保が図られるばかりでなく、技術的能力を持たない者が受注者となることによる一括下請等の未然防止等がなされることによって、ペイパーカンパニー等の不良・不適格業者が排除され、技術と経営に優れた企業が伸びるという結果をもたらすこととなる。

4.測量設計業務への総合評価方式導入の効果

(1)総合評価方式導入の一般的な効果

 『埼玉県総合評価方式活用ガイドライン』によると、総合評価方式導入の効果としては、一般的に、
  1. 公共工事の施工に必要な技術的能力を有する者が施工することとなり、工事品質の確保や向上が図られ、工事目的物の性能の向上、長寿命化、維持修繕費の縮減、施工不良の未然防止等のよる総合的なコストの縮減、交通渋滞対策、環境対策、事業効果の早期発見等が効率的かつ適切に図られることにより、現在かつ将来の県民に利益がもたらせられる。
  2. 企業が技術的競争を行うことにより、モチベーションの向上が図られ、技術と経営に優れた健全な建設業界が育成される。
  3. 価格以外の多様な要素が考慮された競争が行われることで談合が行われにくい環境が整備される。等が期待されると記されている。端的にいえば、「目的物の品質(機能・性能)の向上」、「ランニングコストを含むトータルコストの削減」、「住環境の保全」、「技術力向上等地元企業の育成」が期待されるばかりでなく、工事の手抜きや下請業者への丸投げ、労働条件の悪化、安全対策の不徹底などに代表される「不良・不適格業者の排除」も期待されることとなる。

(2)測量設計業務への総合評価方式導入の効果

 これを測量設計業務の効果としてとらえて見ると、次の通りとなる。
  1. 測量設計業務の品質の向上により公共工事の目的物の品質が確保される。
  2. 必要な技術的能力を持たない測量設計業者が受注者となることにより生じる一括下請等が未然に防止される。
  3. 測量設計技術者等を専任社員として確保していないペイパーカンパニー等の不良・不適格業者が排除され、技術と経営に優れた企業が伸びることとなる。
  4. 高度な技術提案により品質が向上し、公共事業の効率的な執行につながる。

5.測量設計業務における評価項目

(1)評価手法

 評価には、簡易型、技術提案型、高度技術提案型と3つの手法があり、公共工事の規模、技術的な工夫の余地等、その特性に応じて、適切な手法を選択し審査することとし、それに基づき評価された技術力と価格とにより総合的に評価を行い、落札者を決定することとなっている。その各手法については、次の通りであるが、前記したように、遺憾ながら現在、総合評価方式は公共工事のうちの請負工事のみにおいて実施されているところであるので、請負工事を主体とした例で説明する。まず、簡易型は、技術的な工夫の余地が小さい工事に適用し、施工の確実性を確保することを主眼に、施工計画や施工実績、工事成績、配置予定技術者の能力、及び必要に応じて地域精通度や地域貢献度等に関する資料等の提出を求め、これにより、発注者が発注者の指示する仕様に基づが、適切かつ確実に、そして安全で安心な工事を遂行する能力を有しているかを評価するものとしている。技術提案型は、技術的な工夫の余地が大きい工事に適用し、施工の確実性を確保するとともに、発注者の求める工事内容を実現するため、簡易型で示した評価項目のほか、具体的な施工計画、工事目的物の性能・機能の向上や施工に伴う安全対策、交通環境への影響等、社会的要請への対応に関する技術提案を求め、提案の実現性や安全性、及び工期の縮減等の観点から評価を行うこととしている。高度技術提案型は、技術的な工夫の余地が大きく、特に構造物等の品質の向上を図る工事等に適用し、強度、耐久性、維持管理の容易さ、環境の改善への寄与、景観との調和、ライフサイクルコスト等の高度な技術提案を求め、その提案の実現性の観点から評価を行うこととしている。なお、埼玉県では、この手法については、当面実施せず、今後の検討課題としている。

(2)測量設計等委託業務における評価項目

 測量設計等委託業務の特徴は、請負業務と異なり、製品の出来不出来が成果品にすぐ表れるものではなく、その成果品に基づき施工された工事が実施された後に、初めてその成果が判明するという性質のものである。それだけに測量設計等委託業務における評価項目を選定するにあたっては、その性格を熟知して判断しなければならない。しかしながら、総合評価方式は、契約時点、いわゆる入札時点で審査し、判断を下さなければならないことから、受注者の審査規準の選定にあたっては、より慎重をきたさなければならないとともに、その基準が公共工事の良否を決定する重要なものとなることを忘れてはならない。これこそ、測量設計等委託業務に総合評価方式を導入することが必要であり、急がれるゆえんである。この審査時点で篩い分けすることにより、ペイパーカンパニー等の不良・不適格業者が排除され、技術と経営に優れた企業による良質な委託業務により、品質の確保された社会資本整備が実施されることとなる。それゆえ、測量設計等委託業務については、前項で記した手法(簡易型、技術提案型等)にとらわれず、独自の「委託業務型」として実施していくことが望ましい。評価項目の選定には、前記のことを考慮し、優良な企業及び有能な技術者を選出するとともに、後に実施される請負工事への担保責任が確保できる項目を選定することも必要である。

6.測量設計業界における品質確保のための独自な取組

(1)測量CPD制度

 技術者は、常に技術者としての誇りと品格を持って、社会に貢献していくことが求められており、そのためには、常日頃より新技術、新工法を熟知するよう、努力し、研鑽するなど、自己の資質と技術の向上に努めていかなければならない。いわゆる、継続学習である。しかしながら、学歴,資格、経験などは、何らかの形で評価できるものの、この継続学習に対しての評価については難しく、その手法すらなかった。そこで、この継続学習を客観的に評価するシステムとして採用されたのが、欧米において専門職のための継続的に技術の向上をはかるプログラムとして、幅広く行われてきている制度であるCPD(Continuing Professional Development)制度である。研修講習等の自己研鑽による継続学習に対し、それぞれの内容に応じ、一定の点数を与え、それの累積により、総合的に評価することとしたものである。各都道府県測量設計業協会の連合組織である社団法人全国測量設計業協会連合会は、測量技術者の社会的信頼性を高め、良質な測量成果品を提供し、もって社会に貢献することを目的として、このCPD制度を採用し、平成18年10月から運用することとした。CPDで取得した得点の有効期間を5年とし、その期間内に取得した得点数で、当該測量技術者の継続学習能力を評価しようとするもので、それにより、測量技術者の技術レベルが向上することにより、成果品の品質が確保されることとなる。

(2)測量設計業者総合補償制度

 社団法人全国測量設計業協会連合会及び社団法人日本測量協会が中心となって、測量会社の役員・従業員の福利厚生の推進を目的として設立された測量共済会における「測量業者賠償責任保険」で、測量業務での万一の賠償請求に備えた“測量士職業賠償責任保険”、建設コンサルタント・地質調査業務での万一の賠償請求に備えた“建設コンサルタント・地質調査業務賠償責任保険”、測量機器の不測の事故損害に備えた“測量機器損害保険”の大きく3つに分かれている。特に“測量士職業賠償責任保険”及び“建設コンサルタント・地質調査業務賠償責任保険”には、測量業務中の人身及び物損事故に対する補償という一般的な保険のほか、測量及び設計結果の誤りによる財産上の損害補償が含まれている。これは、測量の際、ポイントを付け間違えたことによる調整工事に要する費用を補償するとともに、測量または設計が誤っていたことにより、それに基づいて施工された建設工事にやり直しが発生した場合は、その損害費用を賠償するという画期的なもので、測量設計のように成果品に基づき施工された工事の実施後に、初めてその成果が判明するという性質のものには、待ち望んでいたものであり、必要不可欠な保険である。これこそ、測量設計等委託業務における総合評価方式に最良の評価項目である。

7.測量等委託業務における評価項目の選定

 品格法に基づく基本方針に「公共工事の品質確保に当たっては、公共工事に関する調査・設計の品質確保が重要な役割を果しており、その成果は、建設段階及び維持管理段階を通じた総合的なコストや、公共工事の工期、環境への影響、施設の性能・耐久性、利用者の満足度等の品質に大きく影響することとなる」と記されているように、測量等の調査設計業務は、公共工事の良否を左右する重要なものであるにもかかわらず、その評価は、成果品の提出時点ですぐ表れるものではなく、その成果品に基づき施工された工事が実施された後に初めてその良否が判明するという性格をもつものである。このようなことからも、測量設計等委託業務の成果品は、信頼のおける優秀な企業の優良な技術者によって作成されなければならない。それゆえ、測量設計等委託業務を担当する技術者の選定に当たっては、後に来る工事の品質を確保する観点からも、常に新技術・新工法を研鑽するなど、継続学習に努めている優秀な能力及び実績を持つ担当技術者を選定しなければならない。また、業者選定においても、ペイパーカンパニー等の常勤の技術者を持たず、渡り職人により施工している不良・不適格業者でない、優秀な技術者を常に抱えている優秀な能力及び実績を持つ企業を選定することが必要である。さらに、現在は、短時間に広い視野内の地形や地物などの詳細な三次元座標の取得可能な測量機器なども現れているものの、操作を行うのが人間である以上、起こってはならないことであるが、成果品にミスが生じることも想定にいれなければならない。その誤った測量、いわゆる測量業者の瑕疵により施工された工事に悪影響を及ぼした時は、当該測量業者が、誠意をもってその損害を賠償し、正しいものへ復旧することは当然であるが、発注側としても、このような不測の事態に備え、安心して発注できる瑕疵賠償責任をとれる能力のある企業を選定することも重要である。それに加えて、公共工事が公共の福祉の向上を理念とする社会資本整備であることから鑑み、常日頃より、公共の福祉等に貢献しているとともに、非常時には、率先して災害応急業務に協力する能力を持つ企業、いわゆる国・県等と災害協定を締結している企業を選定することも必要と考える。その上、地域精通度も加味する必要がある。災害協定を締結しているといえども、緊急時に最初に災害活動を行うのは地元企業であることを忘れてはならない。いわゆる住民の生命財産を守るためには地元企業は必要不可欠なのである。地元に貢献している地元企業を維持するためにも、地域に密着した地元企業を優先して選定することも必要である。以上、これらを要約すると次の通りとなる。
  1. ペイパーカンパニー等の不良・不適格業者を排除し、技術と経営に優れた企業を優先する。
  2. 優秀な能力及び実績を持つ担当技術者を有する企業を優先する。
  3. 不測の事態における瑕疵による損害賠償責任を果たせる能力のある企業を優先する。
  4. 公共の福祉に貢献しているとともに、非常時には率先してボランティアで災害状況調査に協力する能力を持つ企業、いわゆる災害協定を締結している企業を優先する。
  5. 地元に精通し、地元に貢献している企業を優先する。

8.低入札価格への対応

 以上、測量設計等委託業務に品確法に基づく総合評価方式の導入の必要性及び評価項目について述べてきたが、これまでの評価項目では、ペイパーカンパニー等の不良・不適格業者の排除により、優れた技術者を常時抱える優良な企業が優先されるものの、低価格入札者、いわゆるダンピングに対しての防御効果は薄い。下請や建設労働者へのしわ寄せ、建設業全体の疲弊、さらには社会資本整備の品質確保の問題等、ダンピング対策は大きな問題であり、建設産業の健全な発展のためにも、その対策は最優先課題となっている。建設産業は、適正な利潤をあげ、地域の基幹産業として継続的に地域に役立つことが必要である。健全な産業として長期間継続していくためには、赤字覚悟の競争は好ましい形ではない。発注機関としても、著しい低価格での応札した者に対して、低入札価格調査制度などを導入し、契約の内容に適合した履行が確実にできるか否かを確認しているものの、当該応札価格での適正な施工の可否について判断することは非常に難しく、実態として、ダンピング受注を排除できないのが現状となっている。そのためにも、さらに低入札価格調査制度の強化を図るとともに、公共工事の実施にあたっては、労働者や下請企業へのしわ寄せを排除するなど、適切な執行が行われるよう配慮しなければならない。平成18年10月、自由民主党は、「公共工事低入札緊急対策会議」を開催し、良質な建設産業の存続、専門工事業者の保護、建設産業労働者の育成・保護を図り、もって公共工事の品質の確保を図ることを目的として、原価割れ受注の排除などを決議した。それによると、緊急に措置すべき事項として、『品確法の適切な運用』、『低入札対策として、少なくとも明白な原価割れが予測される受注希望者を排除する等の適切な措置を講じること』を掲げ、さらに引き続き検討・実施すべき事項として、『受発注契約の方式が、納税者、発注者、受注者の3者がそれぞれにとってより良いものとなるように改善を進めること』、『最低制限価格を導入すること』とともに、『一般競争より指名競争による契約の方が発注者にとって有利となるケースについて、その条件を特定していくこと』等を掲げている。それに基づき、その年の12月18日、国土交通省は、「緊急公共工事品質確保対策(ダンピング対策)」として6項目を公表した。その中で最も期待できるものとして第一に「施工体制確認型総合評価方式の実施」を掲げた。施工体制確認型総合評価方式とは、従来の総合評価方式に、施工体制が確実に確保できるかを審査要素に加えて評価するもので、その技術評価点の中に、入札説明書等に記載された要求要件を実施できる確実性の高さに対して与える点数としての「施工体制評価点」を新たに創設するとした。さらに、技術評価点の配点割合についても、入札説明書等に記載された要求要件を実現できる場合に与えられる「標準点」は従来通りの100点とし、入札説明書等に記載された要求要件以外の性能等に与えられる「技術提案加算点」については従来の10〜50点を、10〜70点(簡易型は10〜50点)に拡大するとともに、新たに「施工体制評価点」30点を追加した。なお、加算点の方法は「順位方式」とし、最上位者に加算点の上限を、最下位者に0点を付与し、中間の者には均等に案分して付与するとした。技術調査点=標準点 100点+技術提案加算点 10〜70点+施工体制評価点 30点。この施工体制確認型総合評価方式は、当面、2億円以上の工事に適用するとあるものの、このような通達がでたことに対し、大いに評価をしたい。当協会としては、特にダンピングの傾向が強い測量設計等の委託業務においても、低入札対策として、少なくとも明白な原価割れが予測される受注希望者を排除する等の適切な措置を講じるこの方式の趣旨を先取りし、実施していくことが望ましいと考える。そして、品確法を適切に運用することにより、談合なきダンピング排除をしていくこととしたい。公共事業での測量業務の予定価格をみても、その人件費において一時期の30パーセント減の7割に落ち込んでいる現状である。ダンピングによる人件費へのしわ寄せが影響しているものである。米国の落札率は95パーセントといわれている。総合評価方式を、さらに踏み込んで、米国並とはいわないまでも、落札率を90パーセント以上にもっていくことが必要と考える。この方式の導入こそ、測量設計業界の生きる道である。それに加えて極論をいえば、一定以上の低入札者については、失格にする措置をとることも考慮に入れるべきと思う。なお、低入札価格調査制度の審査については、発注者が定める同種企業に委嘱することが望ましい。ただし、その経費については、当該低価格応札者が負担することは当然と考える。

9.考えられる評価項目の案

 第7項の測量等委託業務における評価項目として記された5項目の選定基準に加え、第8項の低入札価格に対しての「施工体制評価点」に基づき、それぞれの項目において、測量等委託業務を実施するうえで考えられる良質な品質が確保された成果品提出のための評価項目を選定する。 

(1)標準項目

<1>企業の技術能力及び実績を判定する項目

(ア)  同種業務の履行実績:(一定期間内に)同種(河川、道路、区画整理等)の実績がある。
(イ)  成績評定:(一定期間内の)成績評定の平均点により判定する。
(ウ)  入札日の技術者保有状況:入札日現在において国家資格等を有する技術者が一定数以上いる。この確認には公的保険の加入状況で判断する。
(エ)  優秀企業としての表彰実績:国、都道府県等公的機関からの表彰実績がある。
(オ) 企業の認証取得状況:ISO9001、Pマーク(情報セキュリティ・マネージメント規格)等を取得している。

<2>配置予定担当技術者の技術能力及び実績を判定する項目

(ア)  配置予定技術者の保有する資格:測量士、技術士等の国家資格を取得している。
(イ)  配置予定技術者の実績:(一定期間内に)同種(河川、道路、区画整理等)の実績がある。
(ウ)  配置予定技術者の成績評定:(一定期間内の)成績評定の平均点により判定する。
(エ)  配置予定技術者の優秀技術者表彰実績:国、都道府県等公的機関からの表彰実績がある。
(オ)  配置予定技術者の新技術・新工法への研鑽技術力:測量CPD得点の取得点により判定する。

<3>不測の事態に備えた瑕疵損害賠償責任を持つ能力を判定する項目

(ア)  瑕疵保険への加入状況:測量士職業賠償責任保険、建設コンサルタント業務賠償責任保険等の瑕疵保険に加入している。

<4>企業の災害協力等、社会貢献度を判定する項目

(ア)  災害時等への地域貢献:国・県等との締結した災害協定に基づく協力者名簿に登録している。
(イ)  公益活動の実績:ボランティア活動等公益活動を実施している、又は実施している公益団体に所属している。

<5>地域精通度

(ア)  地理的条件:本店の所在地が県内にある。
(イ)  近隣での実績:(一定期間内に)近隣での業務実績がある。

(2)技術提案加算項目

(ア)  技術提案:VE等成果品の性能・機能の向上等に関する提案、及び履行期間の短縮等の提案があった時は、その内容に応じて適時加点する。

(3)企業の信頼性

(ア)  低入札価格調査制度の対象者としての有無:(一定期間内に)低入札価格調査制度の対象となった実績があった場合は、その程度に応じ適時減点する。なお、極端な低入札価格の入札者は、評価の対象とせず失格とする。
(イ)  企業の信頼性:(一定期間内に)指名停止、及び技術提案の不履行等信頼を損う行為があった時は、その内容に応じて適時減点する。

10.むすび

 測量設計等の委託業務は、製品の出来不出来が成果品にすぐ表れるものではなく、その成果品に基づいて施工された工事が実施された後に、初めてその成果が判明するという性質を持つものである。それゆえ、委託業務の契約に当たっては委託業務希望企業に対し、品質が確保できる技術力等を適格に審査しなければならない。そのためにも品確法に基づく総合評価方式の導入がいかに必要であるかは、いまさら言うまでもないことである。また、優秀な技術者の流出を加速させ、その結果、品質の低下を招くとともに、将来的に価格破壊を起こすダンピングを排除することも重要なことである。当協会としては、測量設計業界が健全な産業として長期間継続し、社会資本を整備し、公共の福祉に寄与していくことを主眼に、この素案を作成したところである。これこそ測量設計業界が生き残れる手法と考えるものである。今後、この素案をもとに、関係各位のご助言のもと、より優れた案として育て上げ、この案を参考にして、国・県及び市町村等の発注機関において早期に実施されることを望むところであります。

※参考文献及び資料
 「公共工事の品質確保の促進に関する法律[Q&A集]」(国土交通省)、「公共工事における総合評価方式活用ガイドライン」(公共工事における総合評価方式活用検討委員会)、「埼玉県総合評価方式活用ガイドライン」(埼玉県)、「総合評価方式使いこなしマニュアル」(国土交通省関東地方整備局)、「測量CPD制度のご案内」(社団法人日本測量協会)、「測量業者総合補償制度」(測量共済会)